院長挨拶

平成 最後の挨拶


平成23年9月1日に開院した高齢者専門クリニックである「ざまクリニック所沢」も皆様の御支持により、平成最後の年を迎えることが出来ました。この7年余りの間、日々の診療において繰り返されたことは、試行錯誤と自問自答、そして、新しい発見と既に得ていた知識の『修正』でした。


開業以来、高齢者の「 健康寿命の延伸」と「精神的なサポート」を目標として掲げて参りましたが、「高齢者」の定義すら、開業時と現在では異なり、平成29年1月、日本老年学会は75〜89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」としました。


平成22年に超高齢社会へと突入した日本において、「高齢者」及び「超高齢者」の健康寿命の延伸は重要課題の一つです。健康寿命とは、「日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる期間」のことで、開院時に考えた当院のキャッチコピーである“元気な高齢者”の“元気”こそ、まさに、“自立した状態”を意味するものでした。


いわゆる「予備能」の低下した高齢者において、自立喪失の原因は多岐に渡り、私が専門としてきた《骨関節疾患》、《末梢神経障害》のみならず、慢性心不全などの心疾患、COPDなどの呼吸器疾患から、脳梗塞などの中枢神経疾患に及びます。


しかし、長年、高齢者医療に従事して思うことは、疾患の管理は当然のことで、「精神的なサポート」と「社会的活動への参加・継続」無くしては、元気(“自立した状態”)の維持は困難であり、自立喪失回避の目標達成には、身体面・心理面・社会面を含めた包括的視点が必要不可欠と言うことです。


高齢者医療で重要なことはそれだけではありません。


「飽食の時代」と言われて久しいですが、意外なことに、必要な栄養素の取れていない高齢者が珍しくないのです。「骨」や「筋肉」は貯蔵庫としても働き、活動するために必要な栄養素やエネルギーが不足すると、人体はこれらの組織を分解してしのごうとします。結果、活動していても、まさに「寝たきり」と同様、骨量や筋肉量の減少が生じてしまうのです。


「メタボリック症候群(以下 メタボ)」対策隆盛の現在、年齢や個々の要因を無視しての、体重減量指導では健康寿命の延伸が危うくなるばかりで、女性が憧れる“スラリと細い脚”など、高齢者専門の私にとっては、要介護の危険性が高まっていると青くなるだけです。特に高齢の女性の場合、メタボよりも「自立喪失を来たす別の“脅威”」が迫っていることを自覚すべきです。


団塊の世代が75歳を超える「2025年」まで6年、予想される高齢者医療の厳しい状況を鑑み、自立喪失回避策をより一層確実なものにする為に、更なる研鑽に励み、今後も高齢者の方々の啓蒙及び治療に努めていく所存です。


掲げた目標は変わることなく、当クリニックより、1人でも多くの“自立”した『百寿者』を出すことにあり、スタッフ一同一丸となって、『 健康長寿医療 』を実践すべく頑張りますので、これからも変わらぬ「お付き合い」のほど宜しくお願い申し上げます。


「自立喪失回避策 既に実施中」宣言
平成31年 4月 吉日